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デザイントークン

デザイントークンは、現代のデジタルプロダクト開発において、一貫性のあるデザインを実現するための重要な概念です。これは、デザインシステムの中核を成す要素であり、視覚的なスタイルや動作を定義する最小単位の値や設定を指します。色、タイポグラフィ、スペーシング、アニメーションなどの基本的なデザイン要素を、再利用可能で管理しやすい形式で表現します。 デザイントークンの本質は、デザインの抽象化にあります。例えば、特定の青色を「プライマリーカラー」というトークンで定義することで、その色を使用するすべての場所で一貫性を保つことができます。これにより、デザインの変更が必要な場合、トークンの値を一箇所で更新するだけで、製品全体に変更を反映させることが可能になります。この仕組みは、大規模なプロジェクトや複数のプラットフォームにまたがる開発において特に有効です。 トークンは通常、階層構造で組織化されます。最も基本的なレベルでは、Raw色値やピクセル数などの「グローバルトークン」があります。これらを組み合わせて、「セマンティックトークン」や「コンポーネントトークン」が作成されます。例えば、「プライマリーボタンの背景色」というトークンは、基本的な色トークンを参照することで定義されます。この階層構造により、デザインシステム全体の一貫性と柔軟性が確保されます。 デザイントークンの実装には、様々な技術的アプローチがあります。一般的には、JSON や YAML などの形式でトークンを定義し、ビルドプロセスを通じてCSS変数やSass変数、あるいはネイティブアプリのコードに変換します。この方法により、デザイナーとエンジニアが共通の言語でコミュニケーションを取ることができ、デザインからコードへの橋渡しがスムーズになります。 トークンの活用は、ブランディングの一貫性維持にも大きく貢献します。例えば、企業のブランドカラーや、ロゴに使用されているフォントなどを、トークンとして定義することで、すべての製品やマーケティング材料で一貫したビジュアルアイデンティティを保つことができます。これは、複数のチームや外部のベンダーが関わる大規模なプロジェクトにおいて特に重要です。 デザイントークンは、アクセシビリティの向上にも役立ちます。色のコントラスト比や、フォントサイズなどの重要な要素をトークンとして定義することで、アクセシビリティ基準を満たすデザインを容易に維持できます。例えば、「テキストコントラスト」トークンを定義し、常に十分なコントラスト比を保つように設定することで、視覚障害のあるユーザーにも読みやすいインターフェースを提供できます。 最近のトレンドとしては、ダイナミックトークンの概念が注目されています。これは、ユーザーの設定や環境に応じて動的にトークンの値を変更する仕組みです。例えば、ダークモードとライトモードの切り替え、あるいはユーザーの視力に応じたフォントサイズの調整などを、トークンを通じて柔軟に行うことができます。この技術により、よりパーソナライズされたユーザー体験を提供することが可能になります。 デザイントークンの管理には、専用のツールやプラットフォームが活用されています。これらのツールを使用することで、トークンの作成、更新、バージョン管理が容易になり、チーム全体での効率的な協業が可能になります。一部のツールでは、デザインツールとの直接的な統合も提供されており、デザイナーが作成したスタイルを自動的にトークンに変換することもできます。 トークンの導入には課題もあります。既存のプロジェクトにトークンを後から導入する場合、大規模な影響と多大な労力が必要になる可能性があります。また、トークンの命名規則や構造の設計には慎重な検討が必要です。不適切な設計は、かえって混乱を招く可能性があります。これらの課題を克服するためには、チーム全体での理解と協力が不可欠です。 デザイントークンの活用事例として、大手テクノロジー企業のデザインシステムが挙げられます。これらの企業は、複数の製品ラインやプラットフォームを横断して一貫性のあるユーザー体験を提供するために、トークンを効果的に活用しています。例えば、モバイルアプリ、ウェブアプリケーション、デスクトップソフトウェアなど、異なる環境で同じブランドアイデンティティを維持するのにトークンが重要な役割を果たしています。 今後、デザイントークンはさらに進化し、より高度な機能を持つことが予想されます。AIとの統合により、コンテキストに応じて最適なトークン値を自動的に提案するシステムや、ユーザーの行動パターンに基づいてトークンを動的に調整する仕組みなどが登場する可能性があります。また、VRやARなどの新しいプラットフォームにも対応したトークンの概念が発展していくでしょう。 デザイナーや開発者にとって、デザイントークンの概念と実践を理解することは、今後ますます重要になっていくでしょう。トークンを効果的に活用することで、一貫性のあるユーザー体験を効率的に提供し、さらには新たな創造性を引き出すことができます。デザイントークンは、デジタルプロダクト開発の基盤として、今後も進化し続けることでしょう。

デザインコラボレーションを探求する「Design Bazaar」開催〜Figma Japan カントリーマネージャー 川延浩彰氏をはじめ、第一線で活躍するデザイナーが登壇〜

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デザインコラボレーションを探求するイベント「Design Bazaar」を10月24日(火)に開催します

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デザインエンジニアリングへの注目の高まり

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デザインエンジニアリングへの注目の高まり

近年ソフトウェア開発においてデザインエンジニアリングという言葉を目にする機会が増えています。従前では工業デザインの分野として対象製品の製造や建築にかかる関係者が多く、工程も多岐に渡るものづくり過程において、ユーザーにとっての利便性及び効用の追求と、製造工程のリードタイム短縮やロス効率の最大化を両立させるためのアプローチとして議論されていたようですが、足元ではそのスコープがソフトウェア開発領域にも広がってきています。